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「切削油 濃度管理 / 補充液の計算決定版!水だけ足すのはNG?」を公開しました。

タンクの切削油が減ったとき、とりあえず水だけを足していませんか? あるいは、適当に原液をドバッと入れていませんか? 実はその運用、悪臭や機械の錆び、刃具寿命の低下を招く大きな原因となっています。
「毎日忙しくて、正確な濃度計算なんてやっていられない」 現場からはそんな声もよく聞こえてきます。 しかし、適当な補充を続けていると、後々大きなトラブルに発展します。
この記事では、当社の長年の現場経験から導き出した事実をお伝えします。 「蒸発」と「持ち出し」を考慮した、本当に正しい補充液濃度の計算方法です。 明日からすぐに使える実践的な内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
現場でよくある勘違い。「減ったから水だけ足す」の危険性

現場を回っていると、多くのお客様から「液が減ったら水を足している」というお話を伺います。 確かに、見た目の液量はそれで回復します。 そのため、問題が解決したように錯覚してしまうことが多いのです。
なぜ濃度管理が狂ってしまうのか?
水溶性切削油は、水と原液が混ざり合ったものです。 機械を稼働させていると、タンク内の液量は徐々に減っていきます。 しかし、減った分すべてが「水」であるとは限りません。
例えば、水だけを足し続けるとどうなるでしょうか。 最初は良くても、徐々に原液の成分が薄まっていきます。 濃度が低下すると、防錆性能が落ちてワークや機械が錆びてしまいます。 さらに、潤滑性が不足するため、刃具の摩耗が早まりコストが増大します。
逆に、濃度が濃すぎるとどうなるでしょう。 作業者の手荒れがひどくなったり、機械のベタつきが強くなったりします。 また、消泡性が悪化してタンクから液が溢れる原因にもなります。 このように、勘に頼った補充は百害あって一利なしなのです。
ここで、手荒れや悪臭に悩まされている方は、別の視点からの対策も必要かもしれません。 腐敗や手荒れに関する詳しい対策は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
切削油の濃度管理に必要な2つの要素とは

正しい計算をするためには、液が減るメカニズムを理解する必要があります。 当社の経験では、液の減少は大きく分けて「蒸発」と「持ち出し」の2つに分類されます。 この2つを区別することが、濃度管理の最大の秘訣です。
水分の「蒸発」による濃度上昇
加工中の熱や、ポンプの撹拌によって、タンク内の水分は常に蒸発しています。 ここで重要なのは、蒸発するのは水分だけだということです。 原液の成分はタンク内に残ったままになります。
つまり、蒸発が進むと液量は減りますが、液の濃度は上昇します。 例えば、設定濃度5%で100Lの液があったとします。 水分だけが20L蒸発した場合、液量は80Lに減りますが、原液量は5Lのままです。 そのため、現在の濃度は 5L ÷ 80L = 6.25% となり、設定より濃くなっている状態です。 この場合は、水だけを足すか、極めて薄い補充液を足すのが正解となります。
切粉やワークへの「持ち出し」による液量低下
もう一つの減少要因が「持ち出し」です。 加工が終わった部品(ワーク)や、排出される切粉に付着して液が外へ出ます。 この場合、水分と原液が混ざったクーラント液そのものが減少します。
持ち出しによって液が減った場合、タンク内に残っている液の濃度は変わりません。 先ほどの例で言えば、20Lが持ち出された場合、液量は80Lに減ります。 しかし、残っている液の濃度は5%のままです。 この場合、減った20L分は、設定濃度である5%の補充液を作って足す必要があります。
現場では、この「蒸発」と「持ち出し」が同時に起こっています。 そのため、単純に水だけを足すのは間違いなのです。
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現場で使える!補充液濃度の正しい計算方法

では、実際に現場でどのように補充液を作れば良いのでしょうか。 「蒸発」と「持ち出し」の両方を考慮した計算ステップをご紹介します。 難しく感じるかもしれませんが、一度計算式を作ればあとは簡単です。
状況別の具体的な計算シミュレーション
まずは、現在のタンクの状況を正確に把握します。 必要な数値は以下の4つです。
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タンクの満水時の容量(例:100L)
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目標とする設定濃度(例:5%)
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現在のタンク内の液量(例:80L)
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現在の液の濃度(糖度計などで測定)(例:6%)
この状況で、満水の100Lに戻すための補充液20Lの濃度を計算します。 現在のタンク内にある原液の量は、80L × 6% = 4.8L です。 満水時(100Lで5%)に必要な原液の総量は、100L × 5% = 5.0L です。
つまり、不足している原液の量は、5.0L - 4.8L = 0.2L となります。 補充する液量は20Lなので、補充液の濃度は以下のように計算します。 0.2L ÷ 20L = 1%
このケースでは、1%の薄い補充液を20L作って足すのが正解です。 水だけ(0%)を足すと薄くなりすぎ、設定濃度(5%)の液を足すと濃くなりすぎることがわかります。
数値で比較するビフォーアフター
当社の指導により、適当な水補充から正しい計算に基づく補充へ切り替えた現場のデータをご紹介します。
【改善前(ビフォー)】
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補充方法:作業者の勘で水または原液を直接投入
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濃度バラツキ:3% 〜 8%(設定5%)
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刃具交換頻度:月間150本消費
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液の腐敗:夏場は2週間に1回悪臭が発生
【改善後(アフター)】
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補充方法:計算式に基づき別タンクで補充液を作成してから投入
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濃度バラツキ:4.8% 〜 5.2%(安定)
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刃具交換頻度:月間110本消費(約26%のコスト削減)
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液の腐敗:半年間発生なし
このように、濃度を正確に管理するだけで、明確なコストダウン効果が得られます。 さらに、作業環境の改善にも大きく貢献しています。
現場の疑問を解決!切削油の濃度管理FAQ(5選)

現場で濃度管理を導入する際、よくいただくご質問を5つまとめました。 当社の経験に基づくリアルな回答ですので、参考にしてください。
Q1. タンクの現在の液量が正確にわかりません。どうすればいいですか?
A1. 現場では液面計がないタンクも多いです。その場合は、満水時の液面位置にマーキングをし、「1cm下がるごとに何リットル減るか」をあらかじめ計算しておくことをおすすめします。一度計測しておけば、次からは定規で測るだけで目安の液量がわかります。
Q2. 糖度計(Brix計)の数値はそのまま濃度として扱ってよいのでしょうか?
A2. いいえ、そのままでは正確ではありません。切削油ごとに「Brix換算係数」というものが設定されています。例えば係数が1.5の油剤で、糖度計の数値が4.0だった場合、実際の濃度は 4.0 × 1.5 = 6.0% となります。必ず使用している油剤の係数を確認してください。
Q3. 計算上、補充液の濃度がマイナスになってしまいました。
A3. 現在のタンク内の濃度が、目標よりも高くなりすぎている状態です。この場合は原液を足す必要はありません。水だけを足して濃度を下げる措置を行ってください。ただし、一気に水を入れると乳化不良を起こすことがあるため、少しずつ撹拌しながら加えてください。
Q4. 別容器で補充液を作るスペースがありません。直接タンクに入れてはダメですか?
A4. 直接投入は濃度ムラや分離の原因となるため推奨しません。しかし、やむを得ない場合は、必ず「水を入れた後に原液を少しずつ足す」という順序を守り、ポンプの吐出部など液の動きが激しい場所へ投入して、十分に撹拌されるようにしてください。
Q5. 自動希釈装置を導入すれば、この計算は不要になりますか?
A5. 自動希釈装置は設定した濃度の液を自動で作ってくれますが、タンク内の現在の状況(蒸発による濃度上昇など)を自動で補正してくれるわけではありません。そのため、定期的にタンク内の濃度を測定し、装置の設定濃度を微調整する作業は引き続き必要です。
まとめ:正しい濃度管理でトラブルを未然に防ぐ
いかがでしたでしょうか。 「減った分を水だけで足す」という運用がいかに危険か、ご理解いただけたかと思います。
切削油の濃度管理は、加工品質や工具寿命、そして作業環境を守るための生命線です。 「蒸発」と「持ち出し」のメカニズムを理解し、今回ご紹介した計算方法を活用することで、必ず現場のトラブルは減少します。
まずは明日、現場のタンクの濃度を測ることから始めてみてください。 そして、計算に基づいた補充液作りをルール化することをおすすめします。
ジュラロン株式会社では、現場の状況に合わせた最適なクーラント運用のアドバイスを行っております。 濃度管理でお困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。 共に、働きやすく効率的な現場環境を作っていきましょう。